このたび、ご縁あってアフロスのお手伝いをすることとなりました「御寮人さん」です。「御寮人さん」というのは、関西ではおおむね「商家の若奥さん」という意味合いで使われる言葉です。「ごりょうさん」「ごりょんさん」「ごりょんはん」と、お好きに呼んでくださると嬉しいです。 確か横溝正史の「悪霊島」の登場人物に「巴御寮人」という女性が出てきましたね!でも彼女の場合は「先代の娘」というような意味でした。
今は東京住まいではありますが、私はもともと大阪船場で生まれ育ちました。ふるい和洋折衷建築の自宅と、そこに隣接して祖父が経営していた写真館があり、幼い頃、私はよくその写真室で遊んだものでした。 その家も写真館も、今もはっきり憶えています・・・少しゆがんだ一枚ガラス、凝った造りの欄間、天井のまるい照明器具、飴色になった木材の手ざわり。
しかし、残念ながら建物老朽化のためそれらの建物は取り壊され、いまはもうその面影もなくなってしまいました。
今回、アフロスのお手伝いをすることになった時、私が最初に考えたのは、その思い出深い写真館でした。
そしてまた、子供の頃から旅してきたヨーロッパ、特にパリのホテルのインテリアも。
それらを融合させて、でもただノスタルジックなだけではなく、いま私たちが生きる時代のスパイスを加えたら、とても美しい空間ができあがるのではないか・・・?
思い出は美しいものです。
けれど、私の記憶のなかでただ何度も咀嚼するだけではなく、それを取り出して手を加え、新しいものとして皆様と共有できるということに、私は今とてもドキドキしています。
新生アフロスの空間が、皆様にとっても、私にとっても、愛すべき世界になることを心から願っております。